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2021.04.13 一般民事事件

賃貸物件の更新料・更新事務手数料は支払わなければいけないか

⑴ 建物の賃貸更新について
賃貸物件では、契約期間が2年と定められていることが多いです。
ただ、「定期借家契約」が結ばれている物件ではなく、通常の借家契約では、借地借家法26条が「建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。」と定めており、更新しない旨の通知をしなければ同一条件で更新されたものとみなされます。
したがって、契約期間が満了しても、住み続けて賃料を支払っていれば、同一の条件で賃貸借契約は更新されます。

⑵更新料は支払わなければならないか
上記のように何もしなくても建物は更新されますが、契約で更新料が定められていることがあります。
この更新料の支払は有効なのでしょうか。
この点について、更新料の定めが消費者契約法10条の定める「消費者の利益を一方的に害する」規定が争われた最高裁平成23年7月15日の判決は、「契約の当事者が、更新料について、支払う旨の明確な合意をし、かつ、その合意の内容、特に借主が貸主に支払う更新料の額が具体的な取引において、客観的に見て暴利的でないなどの合理性がある場合には、その特約は消費者契約法第10条の規定に反しない。」として、高額ではない更新料であれば、消費者契約法10条に反せず有効としました。
具体的に問題となっている更新料の額が暴利かどうかは、毎月の賃料等から判断されます。
悩まれたときは弁護士にご相談ください。

⑶更新事務手数料は支払わなければならないか。
更新料とは別に更新事務手数料や更新手数料が定められているときがあります。
更新事務手数料とは、貸主に支払うものではなく、賃貸の媒介・仲介又は物件を管理している業者に支払う手数料です。
ただ、借主側とすれば更新は何もしなくても更新されますので、特段業者に更新の事務を委託する必要はありません。
貸主の側で更新する際に更新料の請求や居住者の確認をすることが多いので、その事務を委託することがあります。
貸主の側で更新の事務を委託する場合は、本来的には業者に対して更新事務手数料を負担するのは貸主になります。
しかし、借主が知らないことに乗じて、借主に対して更新事務手数料を請求する業者がいます。借主の側もおかしいと感じても、更新事務手数料が少額であることが多く、少額で争いたくないという気持ちから業者からの更新事務手数料の請求に応じるケースは多いです。
法律的には、借主が更新事務手数料を負担するという合意がなければ、借主が更新事務手数料を負担する必要はないので、業者の請求に対して拒否することはできます。
業者から更新事務手数料を請求された場合には、契約書を読んでいただき、借主が負担するという記載がなければ、支払いを拒否してみてください。
業者からすれば、契約書の合意がなければ、更新事務手数料を借主に請求する法的根拠はないので、支払いを拒否されれば、それ以上請求してこない場合も多いです。
悩まれたときは弁護士にご相談ください。

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