婚姻費用・養育費について学校教育費(大学の学費)の加算~高額所得者の学校教育費の負担~

⑴ 標準算定表の婚姻費用・養育費には、もともと平均的な学校教育費として、0歳から14歳までは13万1379円(公立中学校の学校教育費相当)、15歳以上は25万9342円(公立高等学校の学校教育費相当額)が計算されています。

⑵ では、高校・大学の学費が算定表で計算されている学費を超えている場合(私立高校、私立大学への進学など)に、婚姻費用・養育費について加算は認められるでしょうか。

⑶ この点について、まず、支払義務者が私立高校、私立大学への進学を同意しているか問題になります。明示の同意がない場合でも、黙示の同意が認められるか問題となります。

⑷ 黙示の同意が認められるとして、どの程度加算されるでしょうか。

  例えば、大学費用が100万円の場合は15歳以上は26万円が既に算定表で考慮されているので、74万円(100万円ー26万円)をお互いの収入割合に応じて案分して計算して加算することになります。

⑸ もっとも、この算定表で計算されている学校教育費は、0歳から14歳までは世帯平均年収732万9628円、15歳以上は世帯平均年収761万7556円から割り出されています。

⑹ それでは、この世帯平均年収を超える高額所得者の場合も同様の計算になるでしょうか。

 この点について、裁判例では、例えば世帯収入が1800万円の場合は、世帯平均年収を大幅に上回る(約2.5倍)ことからすると、考慮済みの子の学校教育費の額は、平均収入の場合の金額に割合を乗じた金額とするのが相当であるとして、15歳以上の子について65万円(26万円×2.5)として、学校教育費として学費が100万円の場合は超過学費は35万円(100万円-65万円)としたものがあります。

⑺ 算定表で計算される養育費・婚姻費用に追加して超過学費を請求する場合は、弁護士のご相談ください。